おやつく日記(旧:おやつをつくるやつ)

ひまさえあえば、ていねいにくらす

カヌレ日記⑪分量ではなくやはり温度だった

 

 

YouTube動画を見て勉強した結果、一周回ってやっぱ温度だということが分かった。

 

 

 

カヌレづくりの変遷

カヌレ考 カヌレの歴史が気になるので調べる

 

カヌレ日記開始>

 ① カヌレを作ろうと思い立ち、レシピ選定と型の購入

 ② 色んなフレーバーを作っているうちに難しさを知る

 ③ 寝かせる時間を24Hと48Hで変える

 ④ 温度を変えてみる

 ⑤ 途中で中身をひっくり返してみる

 ⑥ 天板でなく網を使う

 ⑦ 振り返り

 ⑧ また温度を変えてみる

 ⑨ 違うレシピにする

 ⑩ 元のレシピをアレンジ

 

YouTubeで学ぶ

 

初期の頃にも一通り良さそうな動画は見ていたのだが、真剣ではなかったので何も頭に入っていなかった。そしたら、おそらく前に見たはずだがスルーしていた動画に目が留まった。

 

www.youtube.com

 

オンラインで料理教室をやっているという「ろくキッチン -Ai Fujiroku-」さん。

 

型の種類、レシピ、温度など研究者ばりに検証していて、本当にすごい。わたしがやりたかったこと全部やってる。ちょっと妬けるけど、どうせやらないのでありがたい。

<学んだこと>

 

こちらのレシピで驚きの事実を知った。

 

カヌレ日記⑨で、「砂糖が少ないと上手く焼けない」と言い切ったけど、ろくキッチンさんのレシピも砂糖が少ない。そして、ちゃんと焼けている。

 

 

わたしがずっと参考にしていたレシピ本についてディスってしまったが、著者さんは間違っていなかった。プロに対して素人のわたしが生意気いって本当にすみませんでした……

 

 

こちらの動画でわたしが勉強になった主なポイントはこちら。

 

 

【砂糖が少なくても焼ける】

 

一番知ってよかったのはこれ。

一般的なレシピは牛乳:砂糖=2:1くらいなのが、こちらのレシピは5:1以下でできている。一般の半分以下の砂糖でもカヌレは作れるのだ。ちなみに薄力粉の割合についても数あるレシピの中で最少レベル。

わたしが参考にしていたレシピに近く、理想の割合だった。

 

レシピ本に載っていたのだからできるに決まっているのだが、できないと決めつけていた。本当にすみませんでした。

 

【温度調整が大事】

 

別の動画で温度の変化と膨張率が時系列でグラフ化されていた。なかなか興味深い結果で、かなり参考になった。ただオーブンによって癖があるので、自分のオーブンでも改めて検証が必要そうだ。これはまた次回以降にやってみる。

 

 

【焼きが甘ければひっくり返せばよい】

 

焼成中に発射(飛び出)してしまって型から浮くことにより底面の焼きが甘い場合は、一通り焼き上げた後に型から出してひっくり返して焼けば良いとのこと。これはわたしの中では目からウロコな発見だった。

 

 

実は過去にひっくり返したことがある(カヌレ日記⑤)。ただしわたしがやったのは、焼成の途中。それでうまくいかなかったので、生焼けになってしまったらもう救済措置はないと思い込んでいた。

 

焼きあがった後にやればよかったのだ。簡単そうなことだけど、全然気づけなかった。

 

今回の目的

 

YouTubeでの学びを活かして、さてどうするか。

 

 

仕上がりの良しあしに分量は関係ないということを知ったので、また砂糖と卵の分量を減らそう。理由は過去何回も書いているが、「甘さ控えめが良い」「卵白を余らせると面倒なので、卵黄追加はしたくない」から。

 

 

ほとんどのレシピでは卵黄1個を追加しているが、全卵か全卵+卵黄については、今のところ風味の違いとして認識している。「卵黄1個プラスしないと難しいよ」という記事はまだ見かけていないので、たぶん大丈夫だろう。

 

 

今回のレシピ

 

牛乳 250cc

すだき糖 50g

バター 10g

薄力粉(ファリーヌ) 40g

強力粉(ゆきちから) 20g

ラム酒 おおさじ1

 

しばらくの間、バニラは省略。

 

 

薄力粉と強力粉の割合は、前回1:1にしたのだが発射した際に膨らんでいるように見えたので強力粉の割合を減らしてみた。

 

 

粉の性質についてはあまり勉強していないので、現時点では適当にやっている。

プロによると粉のタンパク質量によって焼き上がりが変わるらしいが、わたしにそのレベルに到達するのはまだ先だろう。

 

そのうち粉の量ももう少し減らしたい。

 

実践

 

230度余熱+空焼き20分。

 

家庭用オーブンは予熱しても温度に達していないことが多いとのことで、空焼きをした方がいいとのこと。うちのは特にスペックが高くないので、必須と思われる。

 

 

本当なら庫内温度計が必要らしいが、なんか買いたくないので何もせず頑張ってる。

 

予熱中の熱をいただくためオーブンの上に置く

 

【庫内でも温度差がある】

 

開始10分ほどで沸騰。

 

※もう少し早くしてほしいのだが、後々の様子を見ていると温度を上げていいものか迷う。

 

 

今回、庫内をじっと見ているとまた初めて気づいた。というか、前から何となくわかっていたのが、今回ちゃんと自覚した。

 

 

おそらく、庫内でも場所によって全然温度が違うのだ。

 

写真を見てみよう。

こちらは15分後のタイミング。

 

左端だけ発射してる

※キャプションで「左端だけ」と入れたら、「左端だけ沸騰」と過去に入力した文章が予測変換みたいなので出てきた。過去にも書いてた;

 

ちょっと分かりにくいが、横3×縦2で置いているのが、手前の左端だけ沸騰する時間も発射時間も早い

 

 

沸騰しているかどうかは上から覗いて見るのだが、高さの関係で手前の3つしか見ることができないため、発射具合で予想すると、温度は高い順に

 

手前左  →

手前真ん中  →

手前右 →

奥真ん中・奥右 →

奥左

 

くらいの感じだった(うろ覚え)。

 

 

振り返ってみると、確かに毎回左端が早かった気がする。

 

【形状を確認】

 

180度に下げて60分。

 

今回、もう1つ決めたことがある。

今回からトントンするのを止めた。

 

”トントン”とは発射してしまった生地を、型を打ち付けることで落とすこと。これが1回で終わればまだいいが、オーブンに戻した途端にすぐ発射したりするので、いい加減嫌になった。

 

 

そもそも、うまくできたらトントンなどしなくてもいいはずだ。ここはもう放棄しよう耐えようじゃないか。

 

 

発射1センチ程度ならまだマシだが、3センチも飛び出るとめちゃくちゃ腹が立つ。なんなん、これ以上どないせえっちゅうねん、と。

 

 

まあ、温度調整しろよという話なのだけど。

 

 

発射しない時もあるのに、その条件が分からないからイライラしてる。今度からもう少し真面目に検証して記録ももう少し詳細にすべきか。適当だからな。

 

コック帽か

 

焼き上がり。ちょっと上面が焦げてる;

 

焦げ

 

 

ここで見ても、やはり手前左端の焦げ具合が一番ひどい。そして手前3つは全て飛び出したままだが、奥3つはほぼ型に収まっている。そこで取り出して元と同じ場所にひっくり返す。

 

安定の生焼け

 

アングルが下手なので分かりにくいが、なんと両サイドのカヌレは底面が斜めになっているヒーターの当たり具合で1つの型の中でも温度差が出てしまっているのだ

 

 

特に右側の2個がひどい。このオーブンは全体的にヒーターの熱が左に寄っているらしい。

 

 

そして、形として一番美しいのは、最も温度が低かったと思われる左奥だった。底面の中央のくぼみが大きいが、最も高さが出ており、変に斜めとかにもなっていなかった。

 

 

この状態で15分さらに焼いた。

すると、ジャン!

これまでで一番カヌレっぽい!

 

 

カヌレらしいのができた。

ただ、天板側となった面がさらに焦げてしまった。ギリギリ許せる範囲……

 

形がキレイなのは惜しかったので斜めのを切った

 

叩くとコンコンと音がする! こんなカヌレらしいの初めて出来たよ!

 

と興奮していたら、母が「え、これがカヌレなの?」と不思議そうにしていた。

 

 

今まで作ったのはギリ色がついている程度で音なんて鳴らなかった。母にとってカヌレはフニャフニャしてるものだったので、「……そうだよ」と教えてあげた。

 

 

これまでの”砂糖少な目レシピ”では、どれだけ温度を変えても、スがつぶれて半生っぽいのしかできなかったのが、今回はそれなりに固くできていた。

 

 

また飛び出しているし上面焦げてるしで成功とはいえないけれど、救済措置だとしてもひっくり返すだけでそれなりのものができた。これだけで相当うれしい。

 

 

焼きたてを食べるとカリっと音がする。これぞカヌレ! これだよこれ!

 

 

母が横で「え? カヌレってこんな食感なの?」と驚く。うるせー、そうだよ!

 

 

砂糖50グラムでもおいしいカヌレはできる。

 

 

これが分かっただけで収穫だった。希望が見えてきた。わーい

 

改めて、わたしの目指すカヌレ

 

作りながら考えていたことがあった。

 

 

「これだけレシピが出回っている中で、わたしは何にこだわっているのだろう?」と。砂糖と卵の分量もそうだけど、もっと根本的なこと……と考えているうちに思い当たった。

 

 

気軽でシンプルな”おうちカヌレ”が作りたい!のだ。

 

 

これはなかしましほさんの影響が大きい。オイルを使う彼女のレシピは、覚えやすい分量で材料も作業もシンプル。それと同時においしい。

 

 

覚えやすい分量や手順だったりと手軽にできるのは大事だが、その代わりに味の優先度を落とす、というのは好きじゃない。しかしなかしましほさんのレシピは、全てのバランスがいい。

 

 

プロが作る繊細さはなくとも、家でささっと作るにはおいしすぎる。そして、甘すぎず”ごはんのように”(なかしましほさん本のタイトル)食べられる、というのが魅力。

 

 

さすがにカヌレは、クッキーやパウンドケーキほどお手軽とはいかない。型も特別だし温度調整はクセモノすぎる。それでもカヌレレシピの中で極力単純化したい。

 

 

わたしが”ごはんのように毎日食べたい”カヌレがあるとすれば、甘さ控えめで卵白だけ余らせないというのが必須、てこと。

 

 

だから庫内温度計も買いたくないし、各材料の温度を測るとかいう手順も省きたいんだな。冷たすぎたら湯せんする、暑すぎたら体温くらいまで冷ます、くらいのおおらかさで何とかお願いします。

 

 

分量のグラムは下一桁はゼロ。

卵は1個単位。

 

これでできたら最高!

 

 

 

今回、庫内でも温度が違うという問題が出て来たけれど、やるしかねえ。わたしも動画を真似して温度と膨張率を試すか。。あーでもめんどくさそやな。

 

 

無料で料理教室、ありがたい

 

1人であーだこーだとやってきたけど、やはりプロを参考にするのが一番の近道だ。

 

 

ただ、最初から「絶対失敗しないレシピ」で成功しちゃったら知恵がつかない。出来上がったレシピよりも、何も分からないところから自分の理想を決めて、手を動かした今だからこそ理解できることもある。

 

 

また、わたしは自分で検証しなければ納得しないタチなので、ある程度自分でやりたいというのもあった。

 

 

やっと素直に人のアドバイスを見てみようと思ったら、当たり前だけど良質な情報がめちゃくちゃいっぱいある。色んな人の色んな見解や知識が文字でも動画でもゴロゴロ転がってるんだもん。ありがたい時代ですよね。

 

 

いつもより丁寧に掃除

 

これまでに何回カヌレを作っただろう。30回はいっただろうか。

 

 

毎回、焼いたらすぐに布で汚れをふき取っていたのだが、焦げ付いたものがちょっと残ってしまう。

 

そこで今回はめちゃくちゃ時間をかけて掃除した。布越しに爪が削れそうなほどこすり、1個あたり15~20分は磨いたら、だいぶきれいになった。

 

 

まだ買って3か月だけど、だいぶお世話になってます。これからもよろしく、銅型さん。

 

かなり頑張って磨いた