おやつく日記(旧:おやつをつくるやつ)

ひまさえあえば、ていねいにくらす

初・手焙煎やってみた ~米のように手軽に身近に~

初めての手焙煎。想像以上にお手軽だったけど奥が深い

 

 

 

 

 

道具&豆を購入

 

前からほんのり興味はあったんですが、そうはいっても難しいでしょ? という思い込みがあってずっと手を出せずにいた手焙煎

 

 

でもどうしても好奇心が抑えられなくなり、ついにザルと生豆を買ってしまった。数年前からお気に入りのコーヒー豆屋で買い続けており、ありとあらゆる産地の豆をいただいてきたが、正直なところどれが好みかとか、まったくわかっていない。毎回、「うん、おいしい」と思うだけ。味の違いは何となく感じるものの、3秒で忘れるもんね。ということで、深く考えずに人気ランキング上位のコロンビアを購入。

 

 

1キロ約2,000円。普段買っているコーヒーは100gで500円~600円なので、ガス代を考慮しても半額以下。もちろん、技術力などはまだまだなので同等ではないけど

 

 

 

 

素晴らしい本との出会い

 

なんでもいいから参考になる本でも借りよう、と図書館で手に取った本がこちら。本当に適当だったんですが、読んでみたらめちゃくちゃ良い本でした。たった120ページほどしかないのに、著者の中川ワニさんという人の真摯な姿勢が伝わってくる。

 

 

久しぶりにいい人に出会った。

 

豆の焙煎方法とかドリップ珈琲の入れ方のレシピが繊細過ぎて全然頭に入ってこないのだが、実践あるのみ! ということで、今回は中川ワニさんに従って焼いてみました。

 

 

焙煎の雰囲気

 

生豆って青々してるんだよね。じっくり見たことがなかったけど、「ああコーヒーも生きてる豆なんだなあ」と実感。日本でいう米や大豆と一緒の”種”なのだということを、初めて知った気がする

 

 

虫食いなどははじいた方がいいらしいけど、めんどくさいので省略

 

 

自宅でやる場合は、最初に豆を洗って薄皮をできる限り取っておくのが良いのだそう

 

 

最初はどんな風になるか分からないのでドキドキしながら指で緩くかき混ぜてみたところ、少しだけはがれた薄皮が浮いてくる。でも水を何回変えても終わらないので、両手で緩くこすり合わせてみたら薄皮の量が増えた

 

 

両手でこすり合わせる洗い方は、「森のイスキア」をやっていた故・佐藤初女さんのお米のとぎ方。初女さんの食材に対する向き合い方も本当に真摯で、「こんな優しく米を洗うのか」と衝撃を受けたんだよね。おなじ種子なので、コーヒー豆もそれでいこう。長時間洗うのもよくないと思うので、ちょい力入れて洗いあげ

 

 

洗う前

 

 

そしてすぐに火にかける。本のやり方はものすごく細かいので大変そうなイメージなのだが、ワニさんが極力、文章と写真で伝えてくれた内容だ。めんどくさがらずに素直にやるのが得策。きっと初心者がオリジナルでやると失敗するだろうし、とずっと本を片手に豆と本と目をキョロキョロさせながらやった

 

 

※焙煎中は余裕がなかったので写真は撮らず;

 

 

1分単位で色や香りを確認し、ザルを火に近づけたり遠ざけたり、音が鳴るのを確認し。繊細な作業だったけれど、言われた通りにやったら、なんとなく上手にできた。焙煎時間は約20分

 

 

 

これはナッツを炒るときと同じ考え方だ。強火で一気にやろうとすると、外だけ高温になり中はまだ温度が上がっていない。だから中心の温度をできるだけ早く高くしながら、焦がさない絶妙な温度を探っていかなきゃいけない。ナッツはやりすぎたり甘かったりしても、なんとなくおいしく食べるけれど、コーヒーはそうはいかないのでやや難しいだろう

 

 

玄米茶っていうのもこれと同じなのかしら。”深炒り”とかない分、玄米茶の方が簡単かもしれない。今度やってみよう

 

 

前評判で聞いていたとおり、コンロの周りには薄皮の焦げたのが飛び散っていたけれど、たぶん水洗いしたおかげで少ない方だと思う。予想していたよりはずっと少なくて掃除が楽だった

 

 

予想していたよりも薄皮の飛び散りはずっと少なかった

 

 

はやく冷却するため、即座にザルにあけてミニ扇風機を回したけれど、風向き調整が面倒なので結局、うちわであおいだ。アナログ強し

 

 

早急に冷却

 

 

 

before after

 

 

いざ試飲

 

「焙煎したばかりだとガスが溜まっている(?)とかで、1日は寝かせた方がいい」、というのを聞いたことがあるんだけど、それって人による? この本にはそんなこと書いてなかった。置いた方がいいのかな、どうしようかな、と迷いながらも、いや飲みたいでしょ!と速攻試飲することに。

 

 

今回の淹れ方は本は読まずに自己流。そこで感動したのは、湯を注げども注げども、ぜんぜんコーヒーが落ちてこないこと。コーヒー豆の細胞がぐんぐん水を吸収しているのだろう。いままで良い豆でもここまで吸水率が高いことはなかったので、すげー! と興奮することしきり。やっぱり手焙煎かつ焙煎直後だから? 豆が新鮮なのかな

 

 

 

 

やっと淹れ終わり、すぐ飲んでみる。

そしたら、おいしかったー!! イエーイ☆

 

 

実のところ、味についてはこだわりがないので「あ、いけるじゃん」という感じ。「別格!」とまではいかないけど、まず”できる”ということに感動したのが大きい。そっちの理由で「やば! あたしのコーヒー!」って小躍りするくらいテンションが上がった。

 

 

自分で焙煎したコーヒーは、味は分からないけど一味ちがう。今まで店で買っていたのも十分おいしかったけど、自分でやると全く別のものに感じるから不思議ね。あの青い豆がこうやっておいしいコーヒーに変わるんだな。こういう感動も手仕事の醍醐味

 

 

 

初の手焙煎コーヒーは煎茶トリュフチョコと一緒に。チョコ菓子づくりにもハマリ中なのだ

 

 

 

 

今後やりたいこと

 

母によると「昔は大豆を炒ってコーヒーって言ってた」とのこと。母の故郷はものすごい田舎なのだが、そういう時代があったのかな? 同じ”豆”だし、できないことはないだろうから、これも今度やってみようかしら。

 

 

今回、初めてでそこそこできたけれど、おそらくシンプルなだけに奥深い世界だと思う。ワニさんも書いていたけれど、「コーヒーの味は産地じゃなくて、焙煎だ」って。ほかの焙煎士の人で同じこといってるのを見たことがある。今まで毎回必ず産地を変えて買っていたわたしだけど、今回初めて腑に落ちた。だって、米だって銘柄を頻繁に変えたりしないもの。季節やその年の出来、水加減や炊き方で全然かわるものだ(炊飯器ではあまり変化はないけどね)

 

 

 

これはいいオモチャを見つけた。自分の好きなコーヒーを追求してやろうじゃん。そしたらブレンドもつくりたい。

 

少し前、うちのご近所さんが自分でブレンドしているというのでいただいたら、チョコレートの風味がして「なんだこれは!」という驚きのおいしさだった。よくプロっぽい店のメニューの説明書きで「チョコレートの香りが~」とか書いていて、実際飲んだら「言われてみれば、そうかも……?」なんてものとは違います。ご近所さんブレンドはコーヒーなのになぜかがっつりチョコレートという魅惑の風味。その人は手焙煎しているのか、買った豆を混ぜているのか分からないけれど、弟子にしてもらおうかな

 

 

 

おまけ・わたしのコーヒー人生

 

わたしのコーヒー人生のスタートはインスタント。子どもの頃から朝ごはんはコーヒーと決まっており、コーヒーを準備する係をきょうだいで代わりばんこにやっていた。比較的小さいころから父の喫茶店好きに付き合ってよくコーヒーを飲んだ

 

 

学生時代の初めての長期バイトは、昔ながらの渋い喫茶店。店長がいい加減な人だったのでホールで入ったはずがキッチンも兼任。しまいには1人で店を回していた。おかげでサイフォン式の使い方を学び、軽食も一通り全部作れるようになった

 

 

その次は某コーヒーチェーンでバイト(エスプレッソがメインだったけど)。当時はこだわりの強い店だったので、フォームミルクの作り方とおいしいエスプレッソの入れ方を学んだ(今は忘れた)。短時間で大量注文をさばき、なおかつ高品質を提供するというのがわたしの中でテンション上がるゲームだったのだが、集中しすぎて顔が怖いと店長によく注意された

 

 

社会人以降はコンビニやカフェでたしなむ程度だったのが、数年前からこだわり豆屋で買うように。そして今回、初の手焙煎

 

 

書いてみて分かったが、けっこうコーヒー好きな人生じゃない? 変遷はスローペースながら確実にステップアップしている。ここまできたら次は自分で店を開こうか。数年前なら考えもつかないアイデアだけど、今のわたしなら「できたらいいな」と思ったりしてね