最近、試している方法がうまく行きそうなのでメモ。
こないだ、かなり力をいれて書いたカヌレ記事が、手違いでアップ直前に消えてしまった。相当頑張って書いたので再び書く気が起こらず放置していた。今回は、その記事に近い話の雑バージョン。
前に書いた「上達しないのはあなたのせいじゃない」「アルミホイルを駆使せよ」とほぼ一緒だけど、少し進化した。3回ほど試して、まあまあいい感じだった条件について。
今回のポイントは①庫内の段に入れず床に直置きし、②目視で沸騰が確認出来たら(焼成開始から約10分後)アルミホイルをかぶせるというところ。
これまでの実験から、「生地の温度が短時間で沸点に到達し、生地の場所によって温度差が小さいほど成功しやすい」というのが正しいと考えている。成功とはつまり、発射(焼成中に生地が飛び出す現象)しないことです。
これまでも工夫してきたけど、今回はオーブンの仕様を考慮した上で対策してみた。
うちのオーブンは上下にヒーターがあり、段に入れて焼くと下段にしたとしても、上部ヒーターの直接の熱の影響がかなり強い。家庭用オーブンで焼成した場合、庫内の平均温度というよりは、上下ヒーターによる直接的な熱の方が影響が大きいと考えられる。上ヒーターに近い部分のみ局所的に温度上昇が激しく、カヌレの場合は生地全体が沸騰する前に表面だけメイラード反応が進むため、上から逃げられない水蒸気が下に溜まり、生地が押し上げられて発射する。
発射させないためには、上面の局所的な温度上昇を防ぎ、下をできるだけ高温にすることが大事。
そこで、うちのオーブンに合わせた対策。
・床に直置きする
下段に入れても上ヒーターの影響が大きいなら、あとは直置きするしかない。オーブントースターのトレイを使って直置きした。
うちのオーブンは正確にはオーブンレンジであり、レンジとして使用するときは皿などを直置きする仕様になっている。床面はフッ素加工みたいなのがされており、トレイを直接置くのは良くない気がするのだが今は手段を択ばない。過去にトレイではなく網を使ったこともあるが、型を置くのに不安定なのでトレイの方がいい(それでも倒したりする)。
・目視で沸騰を確認したらアルミホイルをかぶせる
設定温度は250度、トレイも一緒に予熱。予熱時間+10~20分を予熱時間とする。生地は直前に湯せんして、熱変性が起こらない程度に温めておく(めんどくさい時は、予熱しているオーブンの上に置いて時々混ぜるときもある)。
生地の表面がフツフツしてきたのを目視で確認したらアルミホイルをかぶせる。うちの場合は焼成後10分程度。そのまま20~30分ほど焼く。
これまで、沸騰したら温度を下げていたが、アルミホイルをかぶせるのでしばらく250度のまま。
うちのオーブンの場合、アルミホイルをかぶせて直接的な熱が遮断された部分はかなり温度が低くなるはず。だから設定温度はMAXのまま敢えて下げない方がいいと考えた。
生地の中央がぷっくり膨れてきたらアルミホイルを外し、温度を200度に下げる。10~20分して表面に焼き目がついたら、取り出して中身を取り出す。底が白ければひっくり返して焼成。オーブン用の天板に置いて下段に入れて10分ほどして焼き目がついたら完成。
とまあ、こんな感じ。この方法で作って一度だけ全く発射せずうまくできた。
飛び出したとしても、一度トントンすると再び浮かんでくるということもない。
沸騰後すぐにアルミホイルをかぶせると、いつもなら表面が完全に焼けているはずの時間になっても、まだフツフツしており、長い時間をかけて水蒸気が抜けているのがよく分かる。アルミホイルとの間で蒸気が溜まるため、表面が蒸されたような状態になっているのが少し気になる。これが良いのか悪いのかはまだ判断がついていない。
もう少しこの方法で試してみるつもりだ。
今回からミツロウがなくなったので、型に塗るのはバターに変更した。ムラができるせいか、生地が薄くこびりつくのが難点。ミツロウのように液体にして流したら均等に塗布できるのだろうが、バターは酸化が進むから無理か。またミツロウ買おうかなあ
これは今回紹介した方法で焼いたコーヒーフレーバー。コーヒー豆を牛乳に一晩つけて抽出した贅沢なやつです。
コーヒー豆もいいのを使ってしまったので、失敗しないように気をつけたら、まあまあうまくいった。
豆の抽出にはちょっとこだわってみた。
昔々、バイトしていたコーヒー屋で出していたコーヒーブラマンジェがびっくりするくらい上品なお味で感動したので、アイデアを拝借。お店では豆のまま牛乳に浸していたのだけれど、香りに品がありすぎた。ブラマンジェなら良いかもしれないけど、カヌレだと負けそうだったので、豆を粗目に挽いて少し濃い目に出るようにした。牛乳が吸って生地の分量に影響しないように、先に少量の水でふやかしたあと、冷めた生地に入れて冷蔵庫へ。えぐ味を抑えるため、コーヒー豆に熱を入れないように。
焼く前にこして、焼成。
こだわった甲斐があって、めちゃくちゃいい香り。焼いている途中は部屋にコーヒー牛乳のいい香りが充満していた。
沸騰直後にアルミホイルをかぶせて、20~30分して外した後の様子。ちょっと前のことなので、どうだったかよく覚えていないが、表面中心がふんわり盛り上がった様子を見たのは、カヌレづくりを開始してから初めて見た。いつも表面が焼けるのが早すぎて、膨れる余裕もなかったのだ。膨れているということは、蒸気に押し上げられているということで、いい感じに焼けている証拠。右隣の二つは発射しているのだけどね……。こんなに近くの隣同士でも全然温度が違うのだ。小さいオーブンは難しいわけだ。
これは最後にひっくり返す前の写真だと思われる。右端と左上は飛び出すことなく、表面も丸みを帯びている。真ん中と左下は飛び出してしまっている。これは下側が浮いてしまって焼き目がつかず白くなっていたはず。写真に写っているトレーはオーブントースター用の小さいもので、これを使って床に直置きしている。
コーヒーカヌレの熱々はコーヒーの香りが尋常じゃなく素晴らしかった。ただ、冷えたらなんだかよくわからかった。もったいない……温め直せばよかった。
溶けて流れたミツロウ(この時はミツロウを使用)の溜まった部分や、生地がこびりついた部分を冷めてから剥がすと、銅がキレイになっていた。これは酸化還元反応ってやつでしょうか。なるほど違う物質が接触していたら空気に触れる方が酸化反応が進むから、酸化銅が還元したってことか(適当なので間違ってるかも。化学は大の苦手)。よく分からんが、感動した。
カヌレ日記、19まで来てしまった。思えば遠くへ来たもんだー♪
まさかこんなに書くとは思ってなかった。