おやつく日記(旧:おやつをつくるやつ)

ひまさえあえば、ていねいにくらす

味噌と母と父

昨日作ったアップルパイ、一晩おいたらサクサク感はどうなるだろうと思いながら、今朝一番遅く起きて下りるときれいになくなっていた。

……デジャブだ。 

あんこスコーン - おやつをつくるやつ

 東京へと帰る兄に持たせる分をすでに包み、あとは全部食べられていた。昨日、作った時に味見しているから別にいいっちゃいいんだけど、味見したことは誰も知らないはず。まったく、この人たちは私が楽しみにしていた可能性とか考えないのだろうか。普段見かけない食べ物があったら他の家族のために残しそうなもんだが、我が家、特に両親にはそういう大人の気遣いは皆無だ。少しでも大きいやつを食べるためにジャンケンでもしようものなら声が外に聞こえるくらい白熱し、負けたら本気で悔しがる。子どもか。

 

ま、そんなことは今更ではある。

簡単だからいいやと今朝もう一度作った。昨日作ったばかりで要領を心得たからスピードアップ。リンゴも多めに乗せて、シナモンも振った。

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昨日の写真よりおいしそうに撮れた

一枚口に放り込んだらシナモンが気管に入ってむせた。見た目からしてかけすぎかなとは思ったが。ティースプーンの半分くらいで十分かな。

 

私がアップルパイを作る隣の部屋では両親がせっせと味噌作り。

 

茹でた大豆と麹を混ぜたものをミンサーで挽く。昔は手動のミンサーで豆を挽いていたが、老体にはつらい作業らしく昨年には自動ミンサーを購入。

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お団子に丸めて

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空気を含ませないようにするため、渾身の力で容器に投げ入れる! うりゃー!

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日頃のうっぷんを晴らすのに最適

母が近所の奥さまに無理やり味噌作りを始めさせられたのが35年前らしい。「『今年は何升作る?』って作るのが前提で聞いてくるんよ。当時はホンマに嫌やったわー。でも今となっては感謝やねえ」などとしみじみ言っていた。

若かりし頃は味噌仲間の主婦と数人で作っていた。35年の間に引っ越しでいなくなったり面倒になって止めた人もいたり、メンバーをマイナーチェンジしていたらしい。人と時間を合せるのが面倒らしく、ここ数年は定年退職した父と2人でしている。

2人で何かすると必ずケンカが始まるので今日はいつくらいからだろうと耳をすましていたが、いつまでたっても罵声が聞こえない。おかしいなと部屋をのぞくと、平和にやっていた。あら珍しい。

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1升分の味噌

私も昨年は手伝ったが、今年は手伝わない代わりに家事をやっておいた。

味噌作りに興味がないこともないが、自分主体ではない事に関して手は出さないことにしている。母が積み上げてきた独自の手順は、非効率に思われる謎の行動や工程がちょくちょくある。それを私が疑問に感じたら最後、なぜそうするのか、納得のいく答えを求める。大抵は答えられないか私の想像通りだったりして「それよりこっちのやり方にしたら」とかアドバイスしまう。そうなると元々面倒なことははできるだけしたくない母が私に丸投げするのが、これまでの経験上分かっている。

我ながらかわいげのない子どもであるが、今後も母に合わせてやるつもりはない。自分の頭で考えることを放棄したら、ますます老化が進むと思うから。

が、準備している様子を遠くから見ていると、またも謎の行動をしていた。まだ本番始まってないのになにしてるねん、と思わず少しだけ手伝ってしまった。不覚。

でもここで止めてさっさと隣の部屋に戻った。

来年はどうするか分からない。いつか引き継いでいるかもしれないし、そうじゃないかもしれない。

 

休憩を挟んで2升仕込むらしい。終わったら間違いなく昼寝だろう。

2人最初の共同作業が結婚式のケーキカットなら、人生最後は味噌作り――まだ早いか。

味は今年の暮れまでのお楽しみ。