アナログ料理人はすり鉢を使う。
巷では「スノーボール」として流通しているクッキーのなかしましほさん版がこちらのコーヒーくるみボール。油分多めでサクサク感があり、クルミの風味がコクを出す。なかしましほさんバージョンはさらにインスタントコーヒーを加えて香りをプラス。
たぶん、前にも何回か作ったことがあるが、このネーミングで検索をかけてもヒットしてこないので早々に探すのを諦めた。
さて、今回の本はこちら。
使用する材料は毎度おなじみ、粉と砂糖と油と水と塩。
そして味の決め手となるくるみとインスタントコーヒー。
くるみは細かく砕くのだが、ちょうど使い切る最後の方だったため、一部すでに粉状態だった。
ほんとならフードプロセッサーを使うところ、うちにはないのですり鉢を使用。
すり鉢は時間がかかるので面倒だが、フードプロセッサーにはない利点を考えるとすれば、熱が入らないこと、だろうか。あとは片づける手間? ただし、”する”手間の方がかかるため作りたくなくなるので、フードプロセッサーがあるに越したことはない。
一家に一台は欲しい便利機器・フードプロセッサー。かつてうちの母は「フードプロフェッサー」と思っていた。プロセッサーというのは加工機とかいう意味で、つまり調理器なのだが、母は「食べ物教授」だと思っていたらしい。「そうじゃないよ」と教えると、「食べ物教授の方がユーモアがあっていいのに。つまんない」と言っていた。そういう考え方もあるかもね。
さてくるみを粉状にするのだが、私はなるべく”すらない”ようにしている。ついやりすぎて油が染みてくるような気がするからだ。
ちゃんと調べたわけではないので分からないけど、油が染みてくるのはたぶん良くない。で、それを極限まで抑えるために、相当ヒマなときは、粉になるまで包丁でひたすらみじん切りにしたりもする。今回はそこまではやれないので、すりこ木を使ったが、できるだけすらないようにするため、トントンと叩いてつぶした。
これ以上はめんどくさいな、というところまできたらスリスリする。
インスタントコーヒーを入れたら、軽く混ぜる程度にして終了。
粉類とスリスリくるみ+コーヒーも入れて油を入れて混ぜて、水も入れちゃう。
まとまったら生地完成。
コロコロ丸めてオーブンへ。
焼いてる間にコーヒーを入れる。実はこれ作ったの朝7時。私にとって朝ごはんを作るよりお菓子を作るほうが楽だったりする。15分くらいで生地を作って30分くらいオーブンに放り込んでおいたらできちゃう。かつては出社前にその日のコーヒータイム用お菓子を作っていた。
完成(もうちょっと見た目がいいやつ選べばよかった)。
本当なら最後に砂糖をまぶすところ、アマアマ苦手なのでそのまま。
クルミの芳醇な香りとコーヒーの苦みがマッチ。しっとりホロホロくちどけは、バターで作ったスノーボールほどではないにしろ、さっぱり菜種油で軽い口当たり。
豆で入れたコーヒーと一緒に朝食代わりに。
そうそう途中でオーブンを開けたらタイマーが「2:22」で止まっていた。2020年2月22日2:22! 今日絶対いいことある!
はしゃぐ私を横目に、母は興味なさそうだった。
さて、2か月前にシュトレンを作りかけでブログを放置していたが、ちゃんと作ってはいた。味は忘れちゃったけど。
そして残念なことに、1年育ててきた酵母をついにダメにしてしまった。パンを作る余裕がないのだ。ここ数か月、作ることはなくても常に酵母のことは気にしていて「作らなきゃ酵母が弱っちゃう。どうしよう申し訳ないな……」と気がかりで仕方ない日々が続いた。現実から目をそらし、こだま(酵母の愛称)から逃げ続けて2か月。ついに禁断のタッパーの蓋を開けて確認すると、立て直しするには厳しい状態だった。かつてあったうっとりするような滑らかさは消え失せ、悪玉のガスを溜めた酵母(たぶん)からは、諦めにも似た悲しさが漂っていた――という私の心を投影していた。
しかし、昨年末からこうなることは予想していた。酵母を保つために作りたくもないパンを作り続けるわけにはいかない。葛藤はありつつ、これでよかったのだと思う。人間ていうのは身勝手なものです。でも多くを学ばせてもらいました。