おやつく日記(旧:おやつをつくるやつ)

ひまさえあえば、ていねいにくらす

アルコールの考察

お菓子作りに入れるアルコールはどのくらい残るのか?

先日、シュトーレンを作った時にぼんやり考えた。

 

今日はマニアックな話。

 

家族や知り合いには小さい子供を持つ親も多い。お菓子に使う酒は入れなくてもなんとかなるので、子供が口にすることを想定している場合は、アルコール入りのものは避ければいい。ただし、シュトーレンは洋酒抜きではやっぱ物足りない。

その場合、アルコールはどのくらい残るのか。素朴な疑問がわいたので調べてみた。

 

参考にした本

マギー キッチンサイエンス -食材から食卓まで-

マギー キッチンサイエンス -食材から食卓まで-

 

家庭の医学ならぬ「台所の科学」  

 

前は自分で持っていた本だが、あまり見ないので売ってしまった。料理は科学じゃない、ハートやろ!と。でもたまには科学もいいかもね……売るんじゃなかった、と後悔。

今回、図書館から借りてきたら重すぎて筋トレ状態だった。帰って体重計で測ったら1.8㌔。百科事典みたいな本だ。(他にも本を借りて、カバンの総重量4㌔だった)。

1984年にアメリカで出版された本で、目次を見ると乳製品、卵、肉魚、野菜に果物――と食材そのものから、パン、ソース、お菓子、アルコールなどもある。

食材や料理について、歴史、生物学的・化学的な特性、具体的な調理法、豆知識など幅広く解説している。アメリカの本なので、たまに知らない食材も出てくるし、逆に日本人として知りたい情報がない場合もある。

 

シュトーレンの場合

さて、私はシュトーレンラム酒を使った。コアントローとか他にもあるが、今回はラム酒限定で書く。

ラム酒が洋菓子に使われる理由については

ミディアム・ラムとダーク・ラムは、濃厚なカラメル風味があり、さまざまな菓子類の材料として使われる

とあり初耳だった。今回は偶然、ダークラムだったが、前はホワイトラム使ってたがな。

 

今回のシュトーレンでは、①ドライフルーツの漬け込み用②マジパンの香りづけ に使用。 

まず加熱によるアルコール度数の変化について。

①②ともに生地に練り込むので、後に加熱する。ここでどれだけアルコールが飛ぶのか。これについても本で軽く触れられていた。

どんな料理法でも完全にアルコールを飛ばしてしまうことはできない。長時間煮込んだ場合でも、最初に加えたアルコールの5%ほどは残っていることが、実験で明らかになっている。加熱時間の短い料理では10~50%、フランベでは75%ほども残っている

私が使ったのは40㌫のラム酒。加熱時間は180℃で約40分。これが長いかどうかはよく分からないが、2~20%残ることになる。ラム酒単体を加熱した場合、ビールより下~日本酒よりちょっと上、ということか(幅がありすぎてピンとこない)。

 

次にシュトーレン全体に含まれるアルコールの割合について。

前回作ったレシピを元に計算する。シュトーレン4本分で、材料の総重量は約1700㌘。このレシピではラム酒に漬ける前のドライフルーツが400㌘で、ラム酒の量は「フルーツが浸かるくらい」とあって具体的な数字は書かれていない。漬け込んだ後にドライフルーツにしみ込んだ量が分からないので調べてみたところ、どなたかの経験として「漬け込んだ後に量ると1.5~1.6倍だった」とあったので、とりあえず今回はドライフルーツの50%、つまり200㌘ということにする。

 

とするとこのラム酒を含めてシュトーレン4本分の総重量は約1900㌘。これに含まれるラム酒の量は漬け込んだ分200㌘とマジパンに入れた15㌘合わせて215㌘。

焼いた後は2~20㌫になるとして、アルコールをグラム換算すると4.3~43㌘に減る。これはシュトーレン全体の0.3~2.5%となる。

( 水分等他の材料の変化は考慮していないので実際とは多少異なる)

 

(ここまで書いてふと考えた。シュトーレン全体の割合を考えることに意味があるのか? ドライフルーツ、マジパンに含まれている割合をそれぞれ出すのが正しいのか? ちょっと混乱してきたが、「シュトーレン」として食べるので、全体で考えていいということにしておく)

 

普段の料理の場合

アルコールはお菓子作り以外でも、というかむしろ普段の料理で使う方が多い。料理酒とみりんは日本の家庭には欠かせない。私には子供がいないので気にしたことがないが、世の親たちはどうなのだろうかと調べてみると、結構神経を使っている人も多いようだ。

料理酒、本みりんはアルコール度数14%(みりん風調味料は1%未満らしい)。本を信じるとすれば加熱後も0.7~7%残っていることになる。ただし、シュトーレンとは使う量が違うし、煮物にした場合、野菜や肉などにしみ込む量と出汁とで割合が変わってきそうだ。……と、考え出すとキリがないのでここらで止めておく。

 

料理に含まれる酒については未成年者飲酒禁止法には引っかからないので、あとはそれぞれの判断ということになる。匂いだけでもダメという大人もいるので、結局は体質だとは思うが、子どもは体が小さい分、単純にアルコールの影響も大きくなるのでその辺は考えた方がいいかもしれない。

 

うちの場合

うちの親は料理酒やみりんの使用について、私が小さい時から特に気にしていなかったと思う。

それどころか、家には色々な種類の酒が置いてあり、これらがお菓子に使われるということを聞いたりしていたので、私自身、子どもの頃からアイスクリームの香りづけに使ったり、紅茶にブランデーを垂らすやつも飲んだりしていた(もちろん使う量はほんの少しだし、酒単体で飲むことはなかった)。

 よく分からんが、いい香りのような気がしていた。そのおかげで、大人になってから何でも飲めるようになった。知らんけど。

 

今日は頭を使ったせいで疲れた。

 

 

 

今回の話については一応本を参照しているが、よそのブログやサイトでは全然違うことが書かれていたりもするので、参考程度にしてほしい。

 

 そうそう、前回からまたシュトーレン作った。

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ドライフルーツ増やして、最後の仕上げのバターの前に、今回はここでラム酒を塗ってみた。大人向けシュトーレンのつもりで作ったら、偶然、遠方の兄が来たのでお土産にあげた。3歳の甥には食べさせないとのこと。ちょっと寂しい。