おやつく日記(旧:おやつをつくるやつ)

ひまさえあえば、ていねいにくらす

ボンボンショコラはお好み焼き的スイーツ

バレンタインに関係なく、冬はチョコがおいしい季節。今年はチョコスイーツにハマっており、少なくとも3キロは消費した。

 

 

 

ビターチョコが好きなので、いつも50~65%を買っている。高級チョコは酸味もしっかりあって風味も格別。ちょいお高いけれど、市販品の味と比べると納得できる。しかし食べ過ぎは危ない。ダースを食べるように65%のチョコをバクバク食べていると、血流が良くなりすぎて本当に鼻血が出そう。

 

 

この秋は主にグリルで焼いたサツマイモにチョコがけするシンプルなお菓子にハマっていた。

 

最初はお気に入りのチョコ菓子本「大人のほろ酔いチョコレート」に掲載されている「スイートポテトショコラ」をつくっていた。こちらのレシピはサツマイモをマッシュしてバターや砂糖を加えてスイートポテトっぽくしたものにチョココーティングをしている。上品なお味は気に入っていたのだが、わざわざ甘く加工しなくてもそのままのサツイマイモでも十分おいしんじゃね? と思ったらビンゴだった。

 

 

※色んな本を見た中でもわたしのベスト・オブ・チョコレシピ本。プロすぎずアマすぎず、おしゃれなチョコレシピが40弱ほど。デザインもシックで美しい。酒好きだからというのもあるかも。

 

 

焼き芋にチョコをかけただけなのだが、唯一こだわった点はグリルで焼いたこと。オーブンより直火の方が良いだろうという判断。

 

 

うちは高温になりすぎると安全装置が作動する魚焼きグリルを使っているため、実は焼き芋を作るには向いていない(しっかり洗っているので、魚の匂いはつかない)。弱火にしても10~15分で火が消えてしまうので、5~10分ほど放置しては着火し、というのを繰り返して合計1時間ほど焼いている。いつか庭で焼き芋を焼くのが夢。

 

 

イモのホクホクとチョコのパリパリの融合が良い。おなかに溜まるのもおやつにうれしい。サツマイモの甘味は完全にチョコに負けるので、チョコがけしない部分をつくったり、イモの厚さを変えたりしてベストな割合を探っている。

 

もう少しお菓子っぽくしようとクッキーをくっつけたりナッツをトッピングしたりして遊んだが、結局イモとチョコだけが一番おいしかった。

 

ロイズのチョコがけポテチなんかがあるところを見ると、普通のイモでもおいしいかもしれない。いつかためしてみようと思う。

 

 

 

そして今回のボンボンショコラ。テンパリングが嫌いなので避けていたが、イモチョコでたまに練習して慣れてきたので、最近やる気が出てきた。

 

 

昔からロッテのラミーが好きで、毎年、冬になると常に冷蔵庫に入っていたのだが、「これってラムレーズンを入れたボンボンショコラじゃん」ということにようやく気付いた。去年は1回作ったかな? テンパリングに苦手意識があるので経験値はまだまだ低いが、今年は2回ほど挑戦している。

 

 

 

ラムレーズンも常備しているので、そちらを使おうか迷ったが、梅酒の梅のことを思い出した。うちは自家製梅酒をつくっており、いつも漬け込んだ梅の使い道に困っていた。お菓子や料理でいろいろと試せど、これはイイ! と思えるほどハマるものに出会っておらず、やっぱ捨てちゃおかな~と迷っていた。

 

ほぼ野生かつ古木の梅なので水分が少なくシワシワ

 

 

そんな時に先ほど紹介したチョコレシピ本のことを思い出した。生チョコやトリュフ、ボンボンショコラなどシンプルなチョコ菓子もいくつか掲載されているこちらの本。初めて見たとき、そのフレーバーの自由度がかなり高いことに驚いた。

 

 

ミントなどのハーブ系や柑橘はまだ想像できるが、醤油やショウガは意外だった。醤油が合うのはチョコも発酵食品だからとのこと(チョコが発酵食品であることは、この本で初めて知った)。ショウガは和食材だからイメージしにくいだけで、スパイスの一種と思えば、不自然なことではない。じゃあ、味噌や塩こうじもアリだし、わさびを入れてもいいのかな? ニンニクもいけそうだが、さすがにマズいよな。

 

 

要はチョコと相性が悪くなければ、そしてチョコさえ固まれば、何を入れてもいいのだろう。ベースとなるチョコがそもそも個性の強い食材なので、香りづけに何を使おうが、チョコはチョコ。お望みであれば肉や魚を入れてもいいだろう。食べたいとは全く思わないが、作ることは可能ってこと。それくらい自由度が高い。

 

 

そうと決まればこっちのもん。その場にあるフレーバーを入れようじゃないか。

和菓子でいうと四季折々のフルーツ大福みたいなもの。食事でいうと、野菜炒めみたいなもの。お好みの具材を入れるお好み焼きみたいなもの。

 

 

お好み焼きというのは、意外と「お好み」というほど自由度が高いイメージはない。キャベツは絶対だし、あとは肉かシーフード、広島焼きかモダンか、あと少しのバリエーションしか思いつかない。「どこが”お好み”やねん」と思わなくもない(パスタの方がよほど”お好み”じゃないか)。しかし、わたしの想像するに、昔は本当に「お好み」の野菜や具を入れていたんじゃないだろうか。

 

 

 

キャベツが一番おいしくて手に入りやすい食材だから定着しただけで、玉ねぎでもキュウリでもカボチャでも作れるだろう。見た目を気にしないなら、水や出汁の代わりに味噌汁を入れてもおいしいと思う。そう、粉と水と卵さえ入れたら、あとは「お好み」でよかった時期があったのではないか、とひそかに思っている。

 

ボンボンショコラはお上品で高尚なイメージがあるが、フルーツ大福だし野菜炒めだし、お好み焼き。ヨーロッパ仕立てのお好み焼きスイーツに違いない。

 

 

──という連想ゲームをしたら、ボンボンショコラとの距離が一気に縮まった。

 

 

じゃあ梅酒ボンボンショコラって余裕でいけるでしょ。すでにウィスキーとか日本酒があるのになぜ気づかなかったのか、今となっては逆に不思議だ。

 

 

今回作ったレシピは「大人のほろ酔いチョコレート」を参考に適当アレンジ。

 

 

ブログには本のレシピは書かない主義なので、ネットにあったほぼ同じレシピを貼っておきます。

 

www.lotte.co.jp

 

さらっと検索したところ、ロッテのこのレシピが一番シンプルで見やすかった。

 

しかし意外と基礎の基礎を教えてくれる簡単レシピがない。レシピサイトがあふれていて、シンプルすぎるレシピが逆に見つけにくいというパラドックスよ。

 

 

このロッテのレシピでいうと、究極、バターとブランデーなしでも作れる。風味は多少落ちるだろうが、それでもそれなりにおいしい。

 

 

今回、わたしはガナッシュに梅酒の梅とすだちピールを入れた。ピールは昨年、庭木のすだちを大量にいただいた際に作ったのだが、あまり出番がなく持て余していたのだ。量はどちらも目分量。固いのでゴマくらいこまかくみじん切りにした。

 

昨年つくったすだちピール。茶色い砂糖で炊いたので色は良くないが味は良い

 

 

テンパリングは棒の温度計2本を使って湯せの湯とチョコの温度を測る。なぜかうちには温度計が3本もある。たぶん、昔、石鹸づくりにハマったときに買った。

 

 

湯せんの温度を50度ほどにして、チョコを40度まで上げて、そこから32度くらいまで下げる。本当は27度くらいまで下げるらしいが、今のところそこまで丁寧にはやっていない。作業中に温度が下がりすぎると、結晶が乱れるのでまた40度まで上げる。

 

 

 

まだテンパリングをモノにできていないので書かれた通りにやるのが精いっぱいだが、なぜこの温度以外で作業してはダメなのかがまだよくわかっていない(理論は理解しているが腑に落ちていない)ので、余裕が出てきたらちゃんと調べたい。

 

 

 

 

ガナッシュづくりはちょっと雑にしてしまった

 

 

ところで、テンパリングをしていると、チョコのロスが多いのが気になる。作業中にポトポト垂れるし、ボウルについた残りも完全に取ることはできない。きれいな器具を使えば再利用できるとはいえ、1回ごとのロスはかなり多い。

 

 

ここでウン年越しに理解できたことがあった。

 

テレビなどでショコラティエが大理石を前に大きいコテ2つを両手で使って曲芸のようにチョコを扱っているのを見たことがある。パフォーマンスっぽいなと思っていたが、チョコを扱うのに合理的な道具と作業だったのだ。

 

 

凹凸がなく温度変化の少ない大理石は温度変化に繊細なチョコに最適だし、直線のコテ2つでチョコの温度を下げていくのも効率が良い。チョコをさらうのにも無駄がない。チョコを追求するうちにあの道具にパフォーマンスになったのだな。

 

 

 

ちなみに、「世界ふしぎ発見」か何かの番組で、ショコラティエの手がめちゃくちゃ冷たいというのを見た。温度に敏感なチョコを扱っているうちに身体も順応してくるらしい。パパさんショコラティエが子どもの頬に触れると嫌がられていて、少し切なくなった。優秀な職人のさだめらしい。

 

 

そういえば、ショコラティエの動作ってお好み焼き焼くのに似てる。上品な香り漂うヨーロッパの文化とコテコテ関西の文化の共通点はここにあり。

 

 

 

さてわたしのボンボンショコラづくりに話を戻そう。

 

ラストには飾りつけに冷凍保存していた柚子皮を乗せてみた。中身とチグハグな飾りが許されるのは家庭スイーツならでは。柚子の黄色が映える。

 

 

 

 

 

完成した梅酒柑橘ボンボンショコラは、梅の酸味と柑橘の風味がお互い邪魔することなくマッチしていた。細かくしすぎて食感がゼロだったので、もう少し大きめにしてもいいかもしれない。

 

 

 

 

使い道に困っていた梅もピールもチョコに入れると高級感が出て得した気分。全て庭木の無農薬果実というのもポイントが高い。余りもので作った結果、ぜいたくなボンボンショコラへと様変わりした。これが家庭スイーツの醍醐味ってもんよ。

 

昨年漬けた柚子チェッロの皮を使用した

 

約2週間漬け込んだ後、みじん切りにして加熱してアルコールを飛ばし冷凍

 

 

しかしひとつデメリットというか、気づいたことがある。

 

「ボンボンショコラというのは、1、2粒だからこそおいしいのだ」ということ。

 

いくら贅沢でもボンボンショコラが20粒もあったら飽きる(2人暮らし)。しかも全部同じ味。多くても3粒でいいし、1日だけで満足。そりゃもちろん、毎日食べてもおいしいですよ。でもチョコマニアでもなければ、ありがたみは薄れる。

 

 

デパ地下で宝石のように1粒ずつ売られているように、高級チョコってやつはあの少量だからこそいいんだろう。たくさん作ってしまったら、人にプレゼントすればいいんだけどね。家庭スイーツとして消費するなら、1、2日で消費できそうな4人以上の家庭におすすめ。(子どもがいたら一瞬でなくなりそうだけど)

 

ありがたみの少ない大量ボンボンショコラ

 

 

お菓子というのは味だけではない。イメージが半分以上占めるものだよね、としみじみ思った。

 

 

チョコスイーツはバレンタインのものではないが、今年はバレンタインが終わると同時に気温が上がった。寒いほどチョコ日和と思っているわたしにとっては、冬の終わりを告げる合図でもある。

 

 

もうすぐ春ですね。の前に、チョコひとつぶいかがですか🎵

 

 

おまけ

コーティングが雑すぎて気持ち悪い見た目になった作品。虫の足みたい

 

 

 

 

 

クッキーやトッピングを張り切ったときのイモチョコ。テーマは枯山水

 

 
 
 
 
 
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